■ お問い合せは劇団ウェブサイトお問い合せ】よりお願い致します。

フェイスブックツイッター友だち追加

”われら”は何処に?〜THE・ガジラ【THE NUMBER】観劇

すっかり恒例となっている演劇企画集団THE・ガジラの年間WSの公演に先日7月22日に行って来た。毎年、劇団員と行くが今年は初の組み合わせではないだろうか?

 

ガジラ作品・鐘下作品を観に行くと、まず最初にパンフレットに書かれた鐘下さんの文章にやられる。開演前に読み、すぐさま隣の劇団員に「読んだか?」と感想を聞いた。(これはその文章を読んだ人にしか伝わらないが、その劇団員は一カ月程前に稽古場で大声を張り上げ泣き崩れ、その後しばらく放心していた)今回も例に漏れず、やられた!

 

 

作品はエヴゲーニイ・ザミャーチンの小説「われら」が原作の【THE NUMBER】 人類の99.8%が滅んだ200年戦争から1000年。生き残った人類は、一斉に目を覚まし、働き、眠り・・・自由を捨てて幸福を目指した。モルモン注射で老いはなく、セックスの相手も時も、子供の誕生も管理され、女性は体内に子供を身ごもる事もない。その世界では現代の私たちのような人類を”古代人”と呼び、自由と欲望により戦争を起こした愚か者であり、また言葉を介さずともその目をもって想いを伝達する事の出来る特殊な力を持った者とされている。

 

そんな背景が語られながら、女と男が出逢う。女は重要なプロジェクトのキーパーソンである数学者、男は古代人の酒を密造させそれを嗜む輩である。この出逢いと反乱分子の存在が女に変化を起こす。愛とは?幸福とは?魂とは?人類とは?・・・迷い、疑い・・・どうして?

 

緊張と重厚な時間と空間。濃密。目の前で交わされる言葉と感情にただただ見入る。今回もまた同じである。ただこれまでと違う事があったとするなら、それは話がわかり易かったという点だ。女と男という軸がハッキリしていたからか?何度もガジラ作品・鐘下作品を観ているからか?自分がいま興味を持ち考えている事柄に近い物がそこにあったからか?・・・どれもそうだと言えるし、どれも違う気がする。

 

もしかしたら「わかり易かった」という”罠”にハマったのではないだろうか?

 

”ストレスフリー”が幸福なわけではない。もちろん”自由”こそが幸福という単純な事でもなければ、愛こそが最も美しいというこでもない。画一された答えなどはない。不条理や不合理、それさえも内包した条理と合理。結局のところ何かに支配される事でしか生きられないか・・・?

 

そんな「語られている事」が「受け止めるべき事」ではないのではないだろうか?

 

そして、一つの記憶が読み覚まされた。確か中学生の時である。国語の授業で太宰治の【走れメロス】について教師が「この作品が伝えようとしている事は?」と問いかける。「人を信じる事の大切さ」「友情の大切さ」「約束を守る事の大切さ」等々が出て来ると教師は言った。「うん。授業的にはそれで間違っていない。けれど個人的には違うのではないかと思っている。そんな当り前の事を太宰がわざわざかくだろうか?」と。(この言葉により私は「走れメロス」に初めて興味を持てた)

 

そうなのだ。予断を持って捉え過ぎているのではないか!?

 

例えば、「現代の私たちのような人類を”古代人”と呼び」と書いたが、それは本当に”現代の私たちのような”なのだろうか?SF作品で架空未来の話の中で”古代”と出たからそれは”現代”とオートマチックに置き換えてしまっただけで、私たちのとっても”古代人”は”古代人”なのではないだろうか?ならば、私たちは・・・そうだ!原作のタイトルは「われら」であり、作品のタイトルは【THE NUMBER】・・・劇中の人物に名は無く番号があるだけ・・・なのだ。

 

そして、パンフレットに書かれた鐘下さんの文章を読み返す。あ、嗚呼・・・全くもってわかり易くなどなかった。自身のわかり易い範疇でのみ分解、解析していたに過ぎない。ただ一つそんな自身に対しての救いは、観劇アンケートに「わかり易かった。ストレートに伝わって来た。ただそれを嬉しくは感じていない」と書けた事だ。

 


ツイッター等で感想を見ると千葉哲也さんの演技に感動しているものが多いが、私も同じだ。セリフを発するのではなく、その瞬間に感じた事を発している(という存在感)。セリフを発する為の動きではない。まして予備動作であるはずもない身体。語っているのだ。一挙手一投足が強さ、弱さ、ハッタリ、迷い、喜び、哀しみ・・・”行間”を語っているのだ。特に相手役に目隠しをする時のこと、その布を結ぶその手、その速さ、それによる布の翻り方に、相手への想いを観た。「あれを出来て役者なんだな」と・・・嗚呼、観られて良かった。若き劇団員がそれを観れて本当によかった。

 

 

一つ不満があるとすれば、観劇後とにかく目撃した事を話したいのに同伴の劇団員とは質疑応答は出来ても”会話”が出来ない・・・ま、主宰がこの程度なのだから仕方ないか(苦笑)・・・精進あるのみだな。
 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>

Related Sites

オフィシャルサイト


フェイスブック


ツイッター

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM